
UiPathでは独自のセレクタと呼ばれる文字列でウィンドウやボタンなどの位置を判断していますが、普通は文字列を見ただけではよく分からないと思います。
そんな時にはUiPath Explorerを使うことにより、アプリケーションごとのセレクタを確認・作成することができます。
今回は便利なUiPath Explorerについて解説します。
Contents
UiPath Explorerとは
画面やボタンなどUiPathが判断するための「セレクタ」を確認できるツールをUiPath Explore(UiPathエクスプローラー)と言います。
クリックなどのアクティビティで「Indicate on Screen」を使えば自動でUiPathがセレクタを設定してくれるため、初めのうちはあまりセレクタを意識する機会がありませんが、ボタンのクリックなどの操作でエラーが発生する場合や、複数の同じウィンドウで1つのボタンに絞る場合など、自動化する上でセレクタは非常に重要になってきます。
UiPath Exploreの使い方を理解して、セレクタの意味と形式をぜひとも理解しましょう。
なお、UiPath ExplorerはUiPath Studioをインストールすると標準で使えるようになっています。
UiPath Explorerの起動方法
UiPath StudioのDesignタブから起動することができます。
また下記フォルダ内のUiExplorer.exeを直接実行しても起動可能です。なお直接起動した場合はUiPath Studioが起動していなくても使うことができます。
C:\Users\ユーザ名\AppData\Local\UiPath\app-バージョン
UiPath Explorerの画面説明
UiPath Studioと同じように全画面英語で表示されます。
慣れるとどの位置に何があるか分かるようになり、簡単に操作できるようになりますので、慣れるまで大変ですがひとつずつ確認しておきましょう。
画面上部から順に説明します。
画面上部
1.クリック(Select Target Element)
ボタンなどの対象をクリックすることでセレクタを表示できます。この操作の使用頻度は高いです。Chromeのディベロッパーツールなど使いなれている方は、すぐにイメージできると思います。
2.クリック(Select Relative Element)
相対指定可能な選択方法です。これを使って選んだだけではセレクタは表示されません。基本は上記のクリックでOKです。(というか正直これの使い方がよく分かっていません。。)
3.チェック(Validate Selector)
作成したセレクタが正しいかチェックする機能です。セレクタ編集画面から手動で変更した場合などチェックを使って正常にセレクタが機能しているか確認しましょう。
4.リセット(Reset)
作成or選択したセレクタをリセットして画面を初期化します。
5.歯車マーク(UiFrameworks)
UiPathの利用技術を変更することができます。レコーディングの利用技術と同じです。基本的にはデフォルトで問題ありませんが、通常通り取得できなかった場合など、デフォルト以外の技術を選んでみましょう。
Windows10の電卓などは数字ボタンがデフォルトでは選択できませんので、その場合は「Ui Automation」を使ってみるとよいと思います。
画面左側
ツリー部(Visual Tree)
Windows上で利用しているアプリケーションの一覧が表示されます。階層表示となっており矢印をクリックすることで順に表示されます。
基本的にはここから探すより、画面上部のクリックから該当アプリのボタン等を選択したほうが早いと思います。
またノートと鉛筆ボタンをクリックしてONにしておくと、ツリーから選択した場合に該当のアプリケーションが強調表示されます。虫眼鏡ボタンは検索できます。
プロパティ部(Property Explorer)
アプリの実行exeやパスなどを確認できるほか、表示位置やタイトルなども確認できます。
例えば、「GetAttribute」アクティビティなどで、このプロパティに表示される「innterHtml」を指定すればそのページのHTMLデータを取得することもできます。
画面中央部
1.セレクタ編集-中央部(Selector Editor)
選択したボタン等のセレクタが表示されます。またこの中のチェックボックスを外すことで不要なセレクタを削除(省略)できます。なお省略できないセレクタについてはチェックを外すことができない仕様になっています。
2.セレクタ編集-右側部
セレクタ編集部で選択したセレクタの詳細を編集することができます。タイトルなど不要な場合はチェックを外すことでセレクタ表示部の内容が変更されます。
3.セレクタ編集-下部
上述の編集部で修正したセレクタが表示されます。ここに表示されたセレクタをコピペしてUiPath Studioで使用することが可能です。
また手動で変更したい(アスタリスクやクエスションマーク)場合はここから手動で変更することもできます。手動で変更した場合は、Validateチェックすることを忘れずに。
画面下部
現在選択中のボタン等が表示されます。「×」ボタンを押すことで選択中のセレクタをリセットすることもできます。
作成したセレクタの使い方
セレクタ編集画面の下部に作成したセレクタが表示されるためそれをコピーし、UiPath Studioのセレクタ部に張り付けて使用します。そのまま張り付けると、改行されている部分が張り付けられないため、一旦1行だけ張り付けるなどして、下記の画面にしてからペーストするときれいに張り付けられます。
セレクタに変数を使いたい場合
UiPath Exploreとは少し話が変わりますが、例えば複数ボタンがある場合に順にクリックしたい場合など、セレクタに変数を使いたい場合がよくあります。
セレクタに変数を含むには以下のようにすることで使用可能です。ループなどで順に変数の中身を変えてあげましょう。
- 改行を取り除く
- 変数にしたい箇所を変数に変える
- 1行のままUiPath Studioのプロパティ画面から張り付ける。
下記はWindows10の電卓アプリで数字の1を選択したときのセレクタです。1から9までのボタンを順にクリックするようにセレクタを変数で作成してみます。なお「Default」だと数字ボタンは取得できなかったので、歯車ボタンから「Ui Automation」に変更してセレクタを取得しています。
<wnd app='applicationframehost.exe' appid='Microsoft.WindowsCalculator_8wekyb3d8bbwe!App' title='電卓' />
<uia automationid='NumberPad' cls='LandmarkTarget' />
<uia cls='Button' name='1' />
1.改行を取り除く
Webページ上では見づらいですが、下記のように改行を取り除きます。
"<wnd app='applicationframehost.exe' appid='Microsoft.WindowsCalculator_8wekyb3d8bbwe!App' title='電卓' /><uia automationid='NumberPad' cls='LandmarkTarget' /><uia cls='Button' name='1' />"
2.変数にしたい箇所を変数に変える
変数にしたい箇所を変数に変更します。今回の例で言えば
<uia cls='Button' name='1' />
の部分で、「name=’1’」の部分を変数numberに変えれば良さそうなので下記のように変更します。
<uia cls='Button' name='" & number & "' />"
3.1行のままUiPath Studioのプロパティ画面から張り付ける
あとは1行にしたセレクタを、UiPath Studioのプロパティ画面からセレクタ部にそのまま張り付ければ、数字の箇所を変数として利用することができます。
1から9のボタンを順にクリックするには、ループ処理などで変数numberをカウントアップしてあげましょう。
まとめ
今回はUiPath Exploreについて解説しました。
通常はアクティビティ毎に自動でセレクタを設定してくれるため、最初のうちはあまり使う機会は少ないかもしれませんが、プロパティ部などは慣れてくると重宝しますのでできるだけ使い方を覚えておきましょう。